指導や授業で、つまづきがちな悩みや疑問をとりあげ、ベテラン教師から読者と同じ目線で問題解決へのアドバイスを提案します。
ここがポイント
学習環境の変化と子ども
小学校生活から中学校生活へ、子どもたちを取りまく学習環境はそのシステムが大きく変化します。しかしその変化の多くは学校というシステムが変化をもたらすのであって、子どもたちが変化するわけではありません。
中1ギャップという現象が問題視されることがありますが、子どもたちには何の落ち度もないのです。私たちは襟を正し、その問題の原因を根幹から見つめる必要があるのではないでしょうか。
学びの連続性
彼ら自身にとっては3月31日の次の日は4月1日であり、学びの連続性は保たれなければなりません。
小学校の教師は小学生のことを、中学校の教師は中学生のことをよく理解できますが、お互い異校種の理解というと、十分とは言えません。私たち中学校の美術教師は小学校のみならず子どもたちが幼少のころからの造形活動に着目する必要があるでしょう。
子どもたちは美しいものを発見した記憶、つくりだす楽しさ、感じとってきたことを大切に心の中に持ち続けています。思考は何もないところから自然発生するものではありません。小さいころからの手ごたえや喜びの中から新たな発想を生み出していきます。その一人一人の実感を美術教師は尊重しながら、成長過程の中で、中学生らしい新たな手ごたえのある学びを生み出していく視点と授業をデザインする力量を持たなければなりません。
子どもたち一人一人を暖かく見つめ、その創造のエネルギーに寄り添いましょう。
(シナリオ・監修、文 川合 克彦)