ここがポイント
研究会に参加してみる
教職に就き、忙殺されるような日々を送っていると、ふと「自分は今のままでいいのだろうか?」と不安になり孤独感に襲われることが誰にもあるのではないでしょうか。よりよい授業を行おうという思いを持った教師ほど、この感覚は鮮明に表れてくるようです。普段は職場には同僚がいて、よく会話をし、頼りになる存在として諸問題を一緒に解決する仲間がいます。しかし腰を落ち着け、静かに今の教師としての自分像と向き合い、広い視野で自分を見つめる機会を持ってみましょう。職場での自分では持てない視点が生まれはしませんか。そうした機会を得るために研究会に参加してみてはどうでしょうか。さまざまな意見に触れたり、新たな発見や考え方に出会えたりするよい機会になり得そうです。
研究会にはいろいろな形があります。職務として出張の形をとり、勤務時間内に出席する研究大会や発表会をはじめ、各地で行われる研究大会などありますが、私的に自然発生的に生まれた研究会も楽しい研究ができる可能性を持っています。中には「造形教育センター」など、戦後の日本美術史の中で大きな潮流となった私的な研究会もあります。
ケイコ先生の狙い
教師になって数年がたった井澤先生はミュズの助けもあり、どのように日々の授業を行っていけばよいのかが、見え始めてきています。そうしたときに陥りやすい落とし穴にはまらないように、ケイコ先生は町田先生の研究会を自分の教え子の井澤先生に紹介したのではないでしょうか。
題材研究をして、自身の考えのもと、授業を組み立てて行ったその授業がよい手応えだったとします。それ自体は成功といえますが、その手応えに執着し、知らず知らずのうちに考え方に柔軟性を失い、自分の殻を作り出していないでしょうか? 教師にとってよい授業とは何か? それは誰にとってよい授業なのかをもう一度足元から見つめ直す必要がありそうです。つまり、そのスタイルに執着するあまり、新たな試みに目を向ける必要性を見失うことにならないようにする必要があるのです。教師として大切な視点に触れることのできる時間を持つことはとても大切です。本音で語り合える雰囲気の研究会の場は、新たな工夫や実験的な授業のアイデアを生み出すよい機会だといえます。
(シナリオ・監修、文 川合 克彦)