vol.05 さいたま市立大宮南中学校 高藤友輔 先生
詳しく解説!私の指導計画(2年生編)

 美術の先生が実際に立てられた年間指導計画を紹介、解説するコーナー。前回に引き続き、さいたま市立大宮南中学校の高藤友輔 先生に解説いただきます。今回は、2年生の年間指導計画に焦点を当てて解説いただきます。

 以下より、高藤先生が立てられた2年生の年間指導計画の表がダウンロードいただけますので、ぜひ記事と併せてご確認ください!
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目 次

1.2年生の年間指導計画、どうやって考えている?

2.実際の年間指導計画を解説!

・5~7月:笑顔のあるときを詰め込んで~好きなもので私はできている~
・9~11月:「夢のあるお菓子」の企画・デザイン
・12月:流れていく白と黒の世界~明度の差、濃淡による美~
・1~3月:素材の工夫に思いを込めて

1.2年生の年間指導計画、どうやって考えている?

 2年生では、これまで1年生で培ってきた資質・能力を活用できるように、また3年生でさらに発展できるよう題材の設定を考えます。各学年間をつなぐ内容を意識し、自己と他者や身近な社会とのつながりを広げながら思考できるようにします。また、理想と現実に思い悩む思春期のど真ん中である2年生であるからこそ、じっくりと発想や構想を練ることができるように時間配分を考えます。

2.実際の年間指導計画を解説!

 筆者が、2年生の年間指導計画を立てる際に、どんなことを意識していたのかを題材ごとに解説します。

5~7月:笑顔のあるときを詰め込んで~好きなもので私はできている~

 自画像の題材です。これからの人生において自分の身近なもの、好きなもの、思い出に残っているものを大切にしながら生きていくことを知り、自己肯定感を高めていけるように展開していきます。中学校生活において、生徒会活動や部活動の中心として今後活躍していく2年生だからこそ、自分の気持ちや心の内面と正直に対面することによって自分を知り、これからの表現活動や学校生活に生かしていけるような展開を考えています。

生徒作品 もしゲームの世界に入れたら……

生徒作品 今の自分

自画像の活動風景

9~11月:「夢のあるお菓子」の企画・デザイン

 第1学年で行ったデザインの題材である「色の秘密・・・」「自然を見つめて〜美しい構成を考えよう〜」「もじ・モジ・文字のデザイン」の内容を活用しながら、形や色彩の効果を生かして「夢のあるお菓子のパッケージ」をつくります。日常生活や社会との関わりを感じられるように、仮想の会社「South Design Company」を題材の設定として立ち上げ、3年生まで継続させることで、3年間の学習の連続性を意識できるように展開します。また、作品の鑑賞の活動では、プレゼンテーションソフトを活用して発表しています。教科書2・3上の64ページを参考資料として活用しています。



生徒作品 マッスルメ

生徒のことば

12月:流れていく白と黒の世界~明度の差、濃淡による美~

 明度の違いによる表現や、水を素材としてより意識できるような授業の展開を心がけています。年末年始を通して、国語科では「書初め」を授業で実施していることも踏まえ、書道では使わない水の使い方や、画仙紙の水よる広がり方など、身近な素材ではあるけれども、活用の仕方で大きく表現が変わることを実感してほしいと考えています。また、白抜き材を活用することによって、思いもかけない表現が出来たり、偶然を活用することによって、自分が「失敗」だと感じたことも表現では活用できたりすることも伝えます。作品を制作する手順において、生乾きのうちに描いたり墨が乾燥してからさらにその上から描いたり、先を見通して白抜き材で墨がのらないようにすること考えたりすることで、ICT機器を活用しなくとも「プログラミング的思考」を自ずと行っていることも、授業の中で意識させたいです。教科書2・3上の55ページを参考資料として活用しています。ただ、教科書にもある通り(美術1・22ページ「墨と水の出会い」)、1年生でも墨を使った表現活動を行っていきたいので、これから変更していく予定です。

生徒作品

墨の様々な技法を試している

1~3月:素材の工夫に思いを込めて

 中学校でも造形遊びを取り入れながら、素材の興味・関心をもてるように工夫し、紙による素材の特徴を考えた工夫や、光やカゲの効果などを生かして空間の美しさを表現します。

光の活動風景

生徒作品

 

執筆者紹介

高藤 友輔(たかふじ ゆうすけ)
さいたま市立大宮南中学校 教諭

○経歴
2005年~  さいたま市立八王子中学校
2010年~  さいたま市立南浦和中学校
2012年~  埼玉大学教育学部附属中学校
2019年~  さいたま市立大宮南中学校 勤務