先輩からのアドバイス vol.23
【マンガ】研究会、全国大会に参加して

指導や授業で、つまづきがちな悩みや疑問をとりあげ、ベテラン教師から読者と同じ目線で問題解決へのアドバイスを提案します。

ここがポイント

美術科教員の現状
 現在、美術科の正規教員が配置されていない中学校が全国に多数あります。当然、学校の中で教科のカリキュラム作成や内容について相談したり議論したりする相手がいません。従って、教科書の例示や指導書や提示されている年間指導計画を頼らざるを得ないのが現状です。他の先生方はどんな授業を行っているか気になりながらも、日々の職務や時間に追われて、年に数回程度しか近隣校の授業を見に行くことができません。毎年、各地では、様々な研修会・研究大会が開催されています。コロナ禍の現状では、大会の中止も多いのが現実ですが、中にはオンラインで開催されるケースもあります。多忙な中でも、意図的に参加の機会をつくって他の実践を見たり、議論したりして、美術科教員としての力量を高める必要があります。

研究大会は集約された学びの場
 自校が属する地区の研究会や研修会は先生方の結びつきを深める意味でとても重要ですが、大規模な研修会や研究大会では、さらに違った情報収集や学びができます。近年の研究大会では、学習指導要領の改訂に伴って、指導内容に即した新しい形の授業や実践発表が行われていています。また、近県のブロック大会や全国大会では地域性を生かした特色ある実践が報告され、この規模の大会では、文部科学省の担当者(教科調査官)が学習指導要領について授業に即した説明をします。自身の授業を振り返り、学習指導要領のもつ意味と授業実践を見直す手がかりを見つけることができます。

自己の目標を設定して資質向上を
 近年、時代の変化とともに教育内容が多様化する中で、教員の指導力の向上が強く求められています。前年度の授業を踏襲するばかりではなく、年に学年1課題程度は生徒の実態に即した新しい授業を試みることをお勧めします。そのような目標を自らが設定することで、今まで以上に、他の人の授業から学ぼうとしたり情報収集に努めたりします。情報を整理する課程で、既存の授業の展開やねらいの不備に気づき見直すこともできます。さらに、学習指導要領の内容に照らした授業であるか、改めて確認することにつながります。

(シナリオ・監修、文 菊田 寛)