指導や授業で、つまづきがちな悩みや疑問をとりあげ、ベテラン教師から読者と同じ目線で問題解決へのアドバイスを提案します。
ここがポイント
カリキュラム配置の難しさ
美術という教科には、教科や学年としての目標があります。そのためにはどのような授業を展開し、どのような資質・能力を育成すべきなのかを、考えなければなりません。美術では「表現」と「鑑賞」という領域があり、表現の中には、絵画や彫刻を中心とした分野と、デザインや工芸を中心とした分野に大別されます。これらを中学校3年間の学びの中で発達段階に応じ、バランスよく年間のカリキュラムとして配置する必要があります。時間数の多い題材ばかりでは、他の領域や分野を学ぶ時間を狭めてしまいます。それに加えて目の前の生徒の学びにフィットした題材を展開していくことは、たやすいことではありません。
題材を選ぶには?
題材を選ぶ際に認識すべき点は、生徒が学び取る学力には「学ぶことによって身に付けていく力」と「学んでいこうとする力」の「二つの側面」があることです。一つの題材にたくさんの学ぶことができる要素があったとしても、生徒たちが学ぼうとする意欲を持てない学習では、題材の有用性を発揮することはできません。教師は生徒たちの成長と発達を見極めながら、どのような題材が生徒たちの学びを高められるのかを考える必要があります。そのためには、参考になる題材を研究することや、生徒たちのために、独自の題材を開発することも大切です。
シナリオ・監修、文:川合 克彦